ボツ話:シークレット属性

「VA-11 Hall-Aのエンディングって、なんか違和感がある。もしかしてカットされた部分が結構あるのでは…?」という陰謀論大好きプレイヤーの声をたまに聞く。これに関して僕が言えるのは、僕らは数多くの罪を犯してきてるけれども、誓ってカットだけはしてないということ。

まず、このゲームの開発中、僕らは常に何かに急かされていた。まずミニゲームではないものを作る方法を急いで学び、まだ開発を始めて半年も経ってないのに「2年も待たせるなんてどういうつもりだ!」と怒鳴ってくる人達に急いで対応をし(たりしなかったり)、そもそも僕らがどういうゲームを作りたいのか、ゴールはどこなのかという議論を急いで進めながら作っていた。
そんな精神状態のときって、何をするにも結果がどうなるかしっかり考えながら進めることになりがちだと思う。少なくとも僕はそうだった。

そして、作ったものをお蔵入りにするという作業は、時間、努力、リソース配分という、その時点で僕らが全然制御しきれていない全てが追加で必要になるわけ。だからそんな暇はない。コンテンツを作るときは、かけら1つも無駄にしないようにしていく心持ちだった。

VA-11 Hall-A開発を的確に表現したグルミットのGIFをここに貼っとこう。

オマケの笑い話を暴露すると、もともとこのゲームは20日間の予定だった。というのは、単に僕がさんすうができなくてこの日数で12月31日に終了すると踏んでたからなんだ。

その日は元々はエンディング前の息抜き日みたいなやつで、17日目のアルマの会話があり、14日目のキムの会話があり、あと11日目の会話にほのかな犬どものニオイがついたようなのがあった。つまり、摘出手術じゃなくて移植手術をしたというわけ。お客の合間の会話ですら他の日に流用したくらいだった。

ただ、開発中どっかに落としたまま見ないふりをしたものが全くないとは言えなくて、実はとてもわかりやすいところに1つあったりする。

レシピを開くと、各ドリンクに3つの属性があるよね。

古き良きバッドタッチ

ひとつ目はドリンクのテイスト、ふたつ目は種類、でもみっつ目は最初「シークレット」だったんだ。

どのドリンクにも「???」になっている謎の属性がついてて、適切なお客に適切なタイミングで提供することで初めて開放されるというシステムだった。

お客が酔い覚ましになにか作ってくれと言ってきたら?ブリーディングジェインをお出しするとレシピ本に「酔い覚まし」項目がアンロックされ、このドリンクは酔っ払いの目を覚まさせる効果があるとわかる。強い酒を頼まれた?そこで正しい「男らしい」ドリンクを提供できたら、「強い」属性のアンロックと、おまけにチップももらえる!
このシステムは初期の頃にお客のムードをドリンクで変更するというシステムから分岐したものでもあった(だから属性のひとつにハッピーがあったりするわけ)。

じゃあなんでこのシステムをボツにしたのかって?単に必要じゃないと思ったからだね。開発を進めるにつれ、ドリンクに必要なのはテイストと種類だけでいいじゃんってなった。
このボツアイデアが残った会話としては、キラ☆ミキが「ソフト」なものを飲みたいと言うくらいかな。この「シークレット」属性を消さずにそのままにしたのは、別に誰も困らないし、レシピ本をちまちま修正するよりそのままにする方が楽だったから。

ボトル系ドリンクも同じ運命を辿りそうになったけど、シンプソンズから学んだことを無駄にしちゃあいけないね。

https://www.youtube.com/watch?v=N_wnkp38UrA
(残念ながら現在非公開)

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

+ 17 = 24