私は暗い夜空を照らす星!
あなたを悲しみから解き放つ輝き!
あなたの夢を映す北極星!
キラ☆ミキの誕生日は9月3日!
キャラクター作成脳内一人会議をしていたときに思いついたのは「毒舌系アイドルの亜種」。
ビジネス営業に飽き飽きしているよくあるアイドルではあるものの、プリマドンナ症候群は発症せず、なんというか、アイドル界におけるバットマンみたいな立場という感じ。毒舌ではあるものの、ファンのために自らを犠牲にするのは厭わないタイプ。
問題点としては、実際に書き始めてみると…これがやたらと燃費が悪かった。お客一人分のストーリーを全然書ききれなかったんだ。それでもアイドルが客として来訪するというアイデアは僕らの頭の端っこに残っていた。
そして、とある楽しい出来事が起きた。
「ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ」っていうスペインの音楽バンドがあるんだけど、2014年の11月、前回のコンサートから10年経ってようやくベネズエラで二度目のコンサートが行われることになったんだ。
特に以前予定されていたコンサートが、チャベス大統領が亡くなったことで延期してしまっていたこともあり、このニュースでファンは相当盛り上がった。それを僕は家族と見に行ったんだ。
正直言って、コンサートはなかなか… 大変だった。開始は遅れ、会場は寒く、ろくに屋根もない野外なのに雨は降ってきて… それでも、ファンはじっと辛抱強く待ち続けていたんだ。待ってる間にステージに近いファンクラブの人達が歌いだしたりもしてた。
そしてコンサートが始まった。
そのときにはもう、待ち続けたことによるイライラなムードはほとんどなくなってたけど、音楽が鳴り始めた瞬間にわずかに残っていた悪い空気は全て霧散した。みんな一気に騒ぎ出し、だいぶ盛り上がってたけど、コンサートを邪魔するほどではなかった。さっきファンクラブの人達が歌ってたというのをバンドが知ったからか、その曲をわざわざ演奏してくれたりすらした。
僕らの近くには老人グループもいたんだけど、そんな人達も音楽に合わせて踊り始めたんだ。そんな幸せを絵に書いたような情景の中、僕のこれまでの人生と共にあったと言っても過言ではない音楽のオリジナルのバンド演奏を聞くというのは本当に、ほんっとうに最高に経験だったよ。
ただ、コンサートが終わってアンコールをしていると、会場スタッフが全部の電源を落とし、僕らを強制退場させた。崩壊した国に住んでるなんて嘘だったんじゃないかと思うくらい夢心地だった僕らは現実に叩き戻されたよ。
でも、このコンサートが僕に与えた影響は別方向からも大きかった。
僕の家族はみんな何かしら音楽関係の仕事をしている。父親と叔父はバンドの一員で、それもあって色んなミュージシャンたちに出会ってきた。僕がまだ赤ん坊のときに母親が抱っこして父親のコンサートに連れて行ってくれたという思い出があるくらいだ。
だから、必然的に音楽とコンサートというものには慣れ親しんでいたものの、本当に好きなバンドが演奏する、僕が聞いて育ってきた音楽を聴くという体験は改めて「音楽って素晴らしい!と実感させてくれたんだ。
とまあ、長い余談ではあったけど、これを紹介した意味というのは、アイドルというキャラクターを通して、コンサートが揺り動かした僕の感情を全部伝えようと思ったんだということ。キラ☆ミキという存在はあの夜の素晴らしい感覚すべてを体現していて、彼女のコンサートというものも僕が参加したものの熱狂を基準としている。
結果として、音楽とそのファンに対する純粋な愛が具現化されたというわけ。愛が強すぎて、空き巣に入られても気にせず、下着をあさられても「ちょっと困る」程度で済ませるくらい優しい人。もはや罪と言えるくらい優しい。
リリムという存在に付随する目的の1つは、彼ら彼女らは人間とは異なる物事の尺度を持つことで、通常の論理を持たず、他の存在とは違う現実を生きていることを感じさせるというものだった。キラ☆ミキはこのアイデアを発展させた最初のキャラだった。
そこで僕に新たな気づきが芽生えた。「そういや、以前考えたバットマンアイドルのアイデアをねじ込めるのでは?」
キラ☆ミキのデザインは長く苦しい戦いだった。Kiririnは長い時間をかけてリン・ミンメイのような伝統的なアイドルから、アイマスのあずささんや美希(インスピレーションだけでなく名前の元ネタにもなった)などの新しい系のアイドルの中間を探ってくれた。アイドルってのは、不可侵の女神のように見えながらも、ギリギリ手が届きそうにも見えなきゃダメなんだ…
苦労はしたけど、最終バージョンにはとても満足してるよ。十分な健全さを保ちながらも、他のアイドルとは違ったなにかを持っている。見た目としてはアイドルと言えば!という年齢の少し年上くらいを目指したんだ。若く見えるけど幼くはなく、成熟しているけどおばさんではない、くらい。
締めの一言としては、キラ☆ミキに関してじゃなく、彼女のコンセプトが生み出したものについて書こうかな。
SFでよくある設定としては、機械がなんでも人間より上手くできてしまうことにより、人類が停滞してしまうというやつがあるよね。その論理はわかるし、前例もあるっちゃあるけど(今でも様々なものが日々自動化されていっているし)、とは言え創造的分野も含めて機械が乗っ取ってしまう、というのはさすがにちょっとアホらしいと思ってる。
機械が感性を持ったり、新しく創造することは不可能だ!と言うつもりはない。けど、機械がそれをできるようになることで、人類の同様の行動が「時代遅れ」になるというのは僕より上手いライターがいるから僕はもう執筆活動辞めるわー、と言ってるようなものだよね。
誰かが何かを創り出す理由なんてそれこそ人それぞれだ。デイビー・リーデンがこのテーマそのものを追求するゲームを作っちゃったくらいに(The Beginner’s Guideのことね、一応言っておくけど)。ある創造性が別の創造性を生み出すというのは永劫の不変だ。キラ☆ミキが歌を歌えるAIだということが、他の歌手が不要だとか時代遅れになったということでは決してないんだ。